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送ると届きます:
九月二十九日(木)
子「お父さん、アメリカって遠いの?」
父「黙って泳ぎなさい」
このジョークで爆笑してくれたのは、未だかつてひとりだけ。面白いと思うんだけどなあ……。
九月二十八日(水)
なんだか知らないけど、まるで悪魔に吸い取られてしまったかのように、ありとあらゆる気力が消え失せてしまった。立ち上がってトイレに行くのにも、下手すれば2、3時間もかかってしまう。二歩のところにある布団まで移動する気が起きず、昨日も一昨日もパソコンの前で眠った。この低調さは並大抵ではない。ものもろくろく考えられないほどだ。生活に支障が出ている。
ただ、気力が戻ってきたらすごいことになるということだけは、とても分かる。この予感がなかったら、恐ろしくてたまったものではない。取り戻すために、無理して体を動かさなくてはならないだろう。なにはともあれ、労働だ。この秋からは、翻訳以外の文章の仕事なども、どんどんやっていこう。まずは営業から。月末で仕事がちょっと楽になるから、そしたら無理矢理ドドンと行くぜ。
九月二十七日(火)
沖縄に、蛍のいる海岸があると、人づてに聞いたことがあります。確か、別の時、別の場所ですくなくともふたりの人の口から耳にした話ですから、きっと本当のことなのでしょう。その海岸では、夜、すっと手を振ると振った手の周りで蛍がさっと光るのだそうです。眠られぬ夜、灯りを消して布団の中でじっとただ目をとじながら、わたしは暗闇の中で鮮やかに黄緑色にきらめく蛍の光を思い描いたものです。沖合まで、まるで墨汁でも流したかのようにまっ黒いよく凪いだ海。潮の香りを運ぶ風。潮の香りに慣れて、風がそれを運んでいるとも気づかないわたし。砂浜を破産で海と反対側には、すこし高いところに雑木林があり、風がその葉を揺らす音が波の音と混ざり合い、まるで世界がどこまでも続いているかのような気持ちにわたしをさせるのでした。
なぜこんな話をするのかというと、わたしの思い描くその蛍の様子と、わたしが最近部屋の中に見つけたぼんやりとほの青い球体のイメージが、実によく似ているのです。その球体は、わたしが立ち上がったり、なにか電子音が部屋の中で鳴ったりするたびに、さっとなにか模様のようなものを浮かび上がらせ、また何事もなかったかのように、すっとその模様を消してしまう。ときには幾何学的であるように見え、ときには子供がクレヨンでめちゃくちゃに書き殴ったように見え、ときにはたったひとつ大きな丸がぽっと浮かんだりもします。よく似たものをわたしは知りませんので、こうとしか説明のしようはありません。
わたしは、それがなんなのか、まったく分からずにいます。丸いからそう見えるのかもしれませんが、わたしにとっては無害なものであるような気がしているだけです。仕事に疲れ、キーボードから手を離してじっとそれを見つめていると、球体が、まるでわたしが胸に持つ自分でも間違いであると分かっている醜い憎悪の塊を、優しく包み込んで暖かく溶かしてくれるかのような、そんな気になるのです。
九月二十五日(日)
つわけで、試合。
今回の対戦相手は、スヌーカー屋さん『フルーク』店長のクジさん。二戦連続のベスト8をかけて臨んだこの試合で0−2負け。2フレームめはかなり惜しいところまで行ったものの、この日、あり得ないくら入れまくっていたクジさんに勢いで負け、会えなく敗退。残念無念。また来月がんばろう。
それにしても今回は、桑田君が初の2連覇を達成。前回に続いて栗本さんを退けての優勝はすごい。ちなみに決勝戦では福田さんとのマッチ。2−0と桑田君がいきなりリードするもそこから2フレーム取り替えされ、勝利をかけたラストフレーム、つまりディサイダーまでもつれこむ熱い展開。とても見応えのある決勝戦だった。それにしても今回は全体的に、いつになくレベルが高かった。来月も楽しそうだ。そして再来月はいよいよアダムカップ。最近ちょっと仕事が忙しいけど、練習がんばろう。
九月二十四日(土)
昨日の練習中、試合直前だというのにキューのタップが壊れる。よりによってこんなタイミングで壊れなくても。新しく付け替えたタップ、いいんだけど、撞いた感じが微妙にちがっていてまだ慣れない。明日、だいじょうぶだろうか。まあ、手元にあるものでがんばるしかない。なんとかなれ。
九月二十三日(金)
高田馬場。深夜。まっ暗闇。土砂降り。昼間は学生やサラリーマンでごった返す早稲田通りにほとんど人影は見あたらず、街灯や信号機の放つ光が、鏡みたいに光る路面に揺れながら反射し、雨に打たれて幽霊みたいにうごめいてみせる。俺はビルの陰から陰へとまるで光を恐れるかのように、まるで一頭の獣の様相で、はいつくばって転げながら走っては立ち止まり、荒い息を吐き出す。倒れたポリバケツに体ごと突っ込むようにして、ずぶぬれの野良猫が残飯をあさっている。その様子に目を凝らしている隙に、早稲田通りを猛スピードでトラックが走り抜けてゆく。見上げれば十数階建てのビルの中ほどの窓に明かりがぽつりとひとつだけ灯っており、まるで雨のなか沖で糸を垂れる釣り船に光る漁り火のようである。俺はおかしな幻想の世界に迷い込みそうになり、頬を平手で打つ。塗れた地肌同士がぶつかりあい、びしゃりと音を立てながらしぶきをはねる。
「ああ、くそ」俺は上空にのぞくまっ暗な空を見上げる。
雨が放射線状に落ちて来ている。そのうち何粒かが俺の目の中に入る。冷たい。やはりこれは現実で、確かに現実であるはずなのに、なぜ俺にはそれがどうしても飲み込めないのか。すべての感触は皮膚の上にふわりと浮かぶようにして俺の体をくるみこんだ、ネバネバした白く透き通る膜の上で、ほんのかすかにしか感じ取れぬほど鈍く化けてしまう。
脂くさい匂いの染みついた裏路地。いつも行くラーメン屋。看板を見慣れた定食屋や居酒屋。スーパー。学習塾。お前らは本当に姿形そのままに、いつでもそこにあるというのか。その奥行きは、絵の具でベタ塗りされた安っぽい影なのではないか。俺はいったい、この両目でなにを見ているのだ。この手でなにを感じているのだ。両手を目の高さまで持ち上げ、ぐっと握り拳を固めてみせるも、それが自分の両手であるということが俺にはどうしても分からず、俺はまた次の物陰へと走ってゆき、同じように壁に張り付くようにしながら空を見上げる。
くそったれ。
九月二十三日(金)
なんかここのところサボりがちで、どうもすいません。なんだかぼんやりと調子が低迷しており、一応このファイルを開いてみることはみるのだけど、いったい何を書いたものやらと思いつつ、気づけば数時間、みたいな日々を過ごしておりました。仕事はぼちぼちしていたけど、スヌーカーの練習はサッパリ。明後日に決勝が迫っているというのに、これはまずい。今日は夜まで仕事をして、そのあと練習に行ってきます。
しかしまあ早いもので、九月ももう終盤。ついこないだタイに行ったと思ったら、もう二ヶ月も経ってしまった。この分じゃあ、気づいたときには今年なんて終わってるんだろうな。ほんとシャレにならんし、これからしばらくは、いろいろと今後の仕事のことも自分からあれこれ考えてみるつもり。とにかく、できることを増やして行かなくちゃ。昔みたいなライター的な仕事も、これからはまた再開したい。まあこれは、必要に迫られてというよりも、やっぱり好きなんだよな、ライターのお仕事。殺伐としていて。まだまだ「筆で食ってます」とは言い難いこの状況。来年中には、胸を張ってそう言えるようにしていきたい。
九月十八日(日)
最近、更新がすっかり滞っていますが、それは毎日仕事かスヌーカーだからであり、決して、FF11に没頭しているからではないことを、ここに明らかにしておきます。今日の予選も、無事グループ1抜けでした。危なかったけど。
九月十四日(水)
ひょんなことでFF11手に入れてやってるんだけど、さっぱりわからん。
九月十日(土)
新宿にて次の仕事の打ち合わせをし、東口方面に向けて歩いていたら、建設作業現場で大工さんがふたり缶コーヒーを飲みながら話している横を通り過ぎた。そのうちの片方が、めんどくさそうな声で「イメージだけで言われても困るよなあ」と言っていて、面白かった。
九月九日(金)
風邪をひいてしまった様子。喉いたい。
九月六日(火)
夢の中に白いワンピースをまとった美しい黒髪の少女が現れて、わたしにこう言った。
「あなたはなぜ、なににすがりついて、そんなにも見え透いたみっともないことを繰り返しているの?」
わたしには分からなかった。答えようがなかった。ただ、少女の言葉にちくりとつつかれた否定できぬ心の一部分が、胸の中でずっと認められずにいた静かな実感を呼び覚まし、その実感こそが認めるべきものであると、わたしは口に出さず、表情ひとつ変えずに確信した。実感はじんわりと体じゅうに溶け広がりながら染み渡ってゆき、やがてそれは、ほのかな羞恥心となってわたしの心臓を締め付けた。
振り向いてみれば、わたしの辿ってきた道には何人もの白いワンピースの少女たちの亡骸が点々と倒れて、もうぴくりとも動いていないのだった。そしてその亡骸のそばにはそれぞれ一輪ずつ、かわいらしい色をした小さな花が、ひっそりと咲いているのだった。
九月五日(月)
早めに寝ようと思っていたのに、アンデルセンとディケンズについて調べ物をしていたら、朝になってしまった。
九月四日(日)
ただいまー。
で、突然ですが、告知。明日、九月五日より有楽町の Gallery Bar Kajima にて、兄マリオ氏の個展が開かれます。身内というひいき目を抜きにしてもかなりおもしろいので、ぜひぜひごらんになってみてください。詳細は、下記画像2枚を参照のこと。