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送ると届きます:
 十二月三十一日(土)
 すっかりドタバタしている間に大晦日になってしまった。十二月はほんと、怒濤のごとく仕事をした月でした。一月もそんな感じになりそう。なんか、年末っていう雰囲気まったくなし。でも今日から一泊二日(予定)にて埼玉に帰省してきます。あわただしいなあ。

 年末の忙しさのさなかに、非常に胸の悪いようなできごともありで、正直、あまり気持ちよく迎える年末とはいえそうにない。

 今、なんか『積み木くずし』の続編みたいなドラマ観てるんだけど、館ひろしいい味だなあ。演技がいまいちなことを除けばすばらしい役者だと思う。つか、静かな演技はあまり合わない気がするんだがどうか。

 よいお年を。


 十二月二十五日(日)
 気取ったレストランでクリスマス・ディナーを食べていた。
年寄りのウエイターがコンソメスープを運んで来た時、ウエイターの親指がスープ皿の中にどっぷり浸っていることに気付いた。
 次にウエイターがサーロインステーキを運んで来た時も、ステーキのグレービーソースにしっかり親指を漬けていた。
 いささか不愉快な気分になったが、「まぁ、このレストランは世界でも名高いレストランなのだから、ひとまず我慢するしかないか」と自分に言い聞かせた。
 最後にウエイターがデザートのバニラアイスクリームを運んだ時は、彼は指を料理の中に入れていなかった。
 それを見てウエイターに聞かずにはいられなかった。
「失礼、君はコンソメとグレービーソースには指を入れていたのに、なぜアイスクリームには指を入れなかったのかね?」
 じっと俺を見つめていた老ウエイターはこう答えた。
「簡単なことじゃよ、お若いの。わしはリューマチがひどくてな。親指を温かいものの中に入れると痛みが柔らぐんじゃよ」
 それを聞いた俺は猛烈に腹を立ててウエイタ ーに怒鳴った。
「このクソッタレ野郎、てめえのどうしようもない親指を俺の食べ物の中で温めていただと? ふざけんな!そんなに温めたけりゃてめえのケツの穴にでも入れて温めていやがれ!」
 老ウエイターはうなずきながら答えた。
「キッチンに戻ったときはそうしているよ」


 十二月二十一日(水)
 どうか世界がもっと平和になりますようにって祈り続けていたけれど、世界はなかなか平和にならなくて、その理由のひとつがもしかしたら自分なんじゃないかった気づいたときに、僕は怖くてたまらなくなってしまったんだ。日が昇る。日が落ちる。月は半分かけていてロマンチックで、僕はそれを美しいと感じることができるけれど、もしかしたら僕は人を恨んでいるのかもしれないし、もしかしたら銃で人を撃っている兵隊だって半分かけた月を見上げて「美しい」と感じるのかもしれない。


 十二月十九日(月)
 先日
 ウミガメの赤ん坊が
 海鳥に食われる映像を見て
「かわいそうだ」と言った
 君が

 今日
 キツネの子供が
 狩の練習をする映像を見て
「がんばれ」と言っている。


 十二月十八日(日)
 スティーブ・デイビス破れる。UKチャンピオンシップの優勝は、中国の18歳、Ding君でした。うーん、残念。リヴァプールも残念。


 十二月十七日(土)
 早朝。

 仕事しながらずっとBBCのサイトで試合の展開を見てたのだけど、スティーブ・デイビス勝った! ヘンドリーを下してファイナル進出!! 7−1から8−6まで追いつかれたときはマジでもうダメかと思ったけど、がんばった! 感動した! やる気出てきた。仕事がんばろう。ありがとう、スティーブ・デイビス。今日はもうちょい仕事して一眠りしてから、久々にクロスに行ってくるよ。


 十二月十六日(金)
 久々に体重計に乗ってみてびっくり。夏が過ぎてから、六キロから七キロは体重が落ちている。すっかり五十キロ台になってしまった。あまり健康的な痩せ方とは思えない。なにか対処しなくちゃだ。ちょっと苦しい時期が続いている。

 イギリスで行われているスヌーカーのUKチャンピオンシップ、スティーブ・デイビスが現在4−0でスティーブン・ヘンドリーをリード中。あと5フレーム取れば勝利。がんばれ! なんか、今回のデイビスはなにかやってくれそうな気がしている。今夜は仕事をしながら応援しよう。

 浅田真央って、中村勘九郎に似ていると思う。


 十二月十五日(木)
 姉歯元建築士の証人喚問を見た。偽装した本人なんだからマジ悪いし、許されちゃいかんと思うのだけど、前からどうもこの人を憎めない。なんか、証言の中に、自分と重なるようなことが前々から多かったからだ。
 フリーライターになったころ、仕事がなかった。だから、一度仕事をした会社とは、なにがなんでも繋がっていなくてはならなかった。その会社に行ったときに見たことのないライターが来ていると、「もしかして俺の仕事がなくなるのでは」と心底ぞっとした。だから、かなり無理をしなければいけない仕事でも「やります」と引き受け、とにかく言われるままにやるしかなかった。
「来年になったら仕事がなくなるのではないか」「これを断ったら次はないのではないか」という恐怖感とプレッシャーは、当時と変わらず今でも強い。これはもう、当時染みついた癖みたいなものだろうけど、フリーでいる限り、抜けることはないんじゃないかなと思っている。とある仕事先で「フリーなんて使い捨てが効く歩兵みたいなもんだからねぇ」と言われたのを、今でも鮮明に覚えている。姉歯氏の「仕事を断れば、収入が限りなくゼロになる。葛藤があった」という言葉に、もしかしたら似たような感じなのかもなあと、ふと思った。「偽装が見つかってホッとした」って言ってたけど、ほんとかも。まあ、実のところは分からないけど。

 当時、僕も納期を早めて安上がりにするために(駆け出しだから安く使えるという利点が相手にはあった)、手抜きをしたことずいぶんありました。ゲーム攻略本だから、人命に関わるようなことがなかったのが幸い。フリーランスという仕事の形式を考えた場合、僕がもし建築士だったらやってなかったとは言い切れない。


 十二月十三日(火)
 医学部生が、ウサギの解剖をネットで公開して問題になっているニュースを、夕方のテレビで見た。次のニュースは、どっかの大型スーパーでマグロの解体ショーが行われたというニュースだった。面白かった。
 前にも似たようなことがあった。富士の樹海で遺体を探すボランティアをしている方々のドキュメントだったのだけど、一家四人の白骨遺体が見つかったシーンがあった。すっかり白骨化した遺体の横に、缶ビールの缶が転がっていた。見ていられなくてたまらずチャンネルを回したら、隣のチャンネルでは「一家で楽しくアウトドア!」という企画をやっていた。一家でアウトドアもいろいろだ。

 前、朝倉さんから「サンタクロースが赤いのは、コカコーラ社が初めに赤くして以来なんですよ」という話を聞いたのだけど、調べてみた。疑っていたわけじゃないけど、ホントだった。ちなみに、1931年の話。それまでのサンタは妖精サイズの魔法使いで、魔法を使って楽チンしながらプレゼントを配り歩いていたんだそう。服も、色とりどりだったみたい。だから、現在のクリスマスっていうのは、まあ概ねコカコーラです。
 にしても、なんの疑問もなくクリスマス商戦に消費者として乗っかるのって、パチンコ屋の新装開店に並ぶみたいで嫌だなあ。


 十二月十二日(月)
 ここ二、三日でやってた仕事、ようやく終わり。リーディングの仕事で、本来は得意分野なのだけど、ちょっと特殊なストーリー構成の一冊のため、思いのほか手間取った。昨日の夕方からずっと作業して、結局今日の午後一時半。疲れたっていう言葉は好きじゃないけど、疲れた。さて、ちょっと仮眠をとって次の仕事にかかろう。二月末までは、殺人的なスケジュールが予想される。や、一月末までで済むかな。でも二月も忙しそうだけど。

 なんかイライラしている。ちょっとしたことでイラッときて「おっと危ねぇ」と深呼吸し、平静を保つ。たとえば、誰かとちょっと肩がぶつかっただけで、瞬間的に切れそうになる。よほど疲れてるのか。でもまあ、大丈夫。それがおかしいのは、よく分かっている。戻ってこられるウチは、平気。
 最近連続して起きている変な事件というのは、その「イラッ」がコントロール外のところまでぶっ飛んで行ってしまった瞬間に起きるのかな、とか思う。「イラッ」に限らず、何らかの感情の過ぎり。それが、自分がコントロールできる円の枠をはみ出してしまったとき、なにかが起こってしまうのかもしれない。そういうのは、事件を起こしてしまうような形で起こる場合もあるし、なにか別の、もっと小さな形で起こることもある。なにか衝動買いしちゃったり、やけ酒しちゃったりね。たぶん、よき方向に飛び出たときはとんでもなくよいものがそこから生まれ、悪しき方向に飛び出たときはとんでもなく悪しきものがそこから生まれるのだ。生産はつまり、自分を円の中に保つための行為。「これをしなくちゃ生きていけない」というほとばしりを形に変え、自分という個人を形作り続けるのだろうな。まあ、そんなこと考えてもしゃーないのだけどね。


 十二月八日(木)
 今日は、いつも大変お世話になっているポプラ社のクリスマス・パーティ。僕も、クリスマス・プレゼント(純連のラーメン、味噌、塩、醤油セット)を持って行ってきた。今年でこのパーティに参加するのも3度目になるが、いつ行っても楽しい。毎年、十二月の割と早い時期に行われるので、これから始まる忘年会ラッシュに意識が向かっていく。

 最近、ある日本の作家の本を読んだ。なんか売れてる人らしいのだけど、読んだのは今回が初めて。なんか、ハリウッド映画的というか「面白いのは分かるけど、なにもないなあ」みたいな作品だった。これだったら俺にも書けるんじゃないの? と思うんだけど、なかなか書けないものなんだろうな。ものを書くのって、それがどんなものであれ難しいものだし。しかしうーん、それにしても……。面白ければいいのか、それとも面白いだけじゃダメなのか。ひとりの作家の在り方としては前者なんだろうし、それでいいのかな。自己中心的に考えるならば、自分が満足できるかどうかだ。その良し悪しは別として。

 栃木の事件で、元捜査一課の田宮氏がコメントしていた。この人、前からどうもなんか変だ。個人的にはコメントとか存在感とか好きなのだけど、今回も非常に独特なコメントでよかった。「犯人は20代から30代、もしくは40代から50代」。まあ「この段階じゃあ分からないよ」「そこをお願いしますよなんとか!」みたいに押し切られての発言なのかもしれないが、この投げやり加減ときたら。


 十二月七日(水)
 今年の三月に群馬で女児を刺した十八歳少年が、七日に逮捕された。
 もしかして……??


 十二月六日(火)
 クラッシャー・バンバン・ビ……いや、なんでもない。


 十二月四日(日)
 さて、休んだので仕事。調子がいいとは言い切れず、精神的にはずいぶん不安定だけど、それはそれ。どうせいつもそうなのだから、四の五の言わずにページを開け。いつも思うのだけど、やっている仕事の内容ってどの辺まで公表していいのだろう? うかつなことは書けないから、あまり書かないようにしているのだけど。他の翻訳者さんや作家さんのサイトを見ているとけっこう書かれているのだし、まあ問題ないのだろうけどな。
 今日は明日締め切りの原稿を一本書き上げなくてはならない。年末だけあって、いろいろなスケジュールが前倒し前倒しで進行してゆく。今月は、スヌーカー活動もそんな頻繁にはできそうもないな。

 年を経るにしたがって、自分がこれまで「こう」と信じてきて多くのものの姿形が、驚くほどあやふやになり、分からなくなってくる。ぎょっとする。


 十二月三日(土)
 静岡の沼津市に、福田豊さん朝倉さんと一緒に行ってきた。JSA理事長、前田さんのご自宅にスヌーカーテーブルが入ったので、お祝いがてらお邪魔し、スヌーカーの今後のことなどあれこれ話をするのが目的。もちろん、スヌーカーを撞くのも目的。ここのところ心身ともにくたびれきっているので、長距離のドライブはいい解消になりそうだ。
 足立で待ち合わせをし、首都高から東名を通って一路沼津へ。富士山のあたりでは、紅葉がとてもきれいだった。たまにはこうして都心を離れてのんびりって、必要かもね。二時間とすこしほどかけて、前田さん宅に到着。お昼に鰻をごちそうになってから(めちゃくちゃ美味しかった)、いよいよスヌーカールームへ。すごい! クロスもボールも新品で、めちゃくちゃきれい。まだナップがなじむ前とはいえ、テーブルがよく撞きやすい(ライリーのアリストクラット)。書棚には、あれこれとレアなスヌーカー関連書籍が並べられており、マニア垂涎。またぜひともお邪魔したいものです。

上から順に、前田さん、福田さん、朝倉さん








 十二月二日(金)
 師走。

 太陽が落ちてくる夢を見た。ひとりの僕は黙ってそれをマンションの屋上で手すりに手をかけて眺めており、もうひとりの僕が雑踏のなかを逃げまどっていた。