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 七月三十一(月)
 仕事の合間に『ゲド戦記』を観てきた。レビューを読むかぎり酷評がやたらと多いので「どうなのよ」と思っていたが、なんだ、そんな悪くないじゃん。ちょっと説教臭いのは否めないし(『もののけ姫』クラス)、「おいおい、ここでその台詞は言わないだろ」みたいな不自然さ(「命を粗末にするやつなんて大っ嫌いだ!」ってテルーがアレンを怒鳴りつけるシーンがCMで流れてるけど、大っ嫌いなやつにそんな親切に理由まで説明しないよな普通)とかはチラホラあったとしても、ちゃんと怖いし、ちゃんと面白い。僕は嫌いじゃないかな。走っているキャラクターが地面に足を取られてすべるというお家芸も健在。崩れた階段をさらに崩しながら駆け上がるというお家芸も健在。でも、とにもかくにも一本の映画でやるというのには無理がある。どうせなら『指輪物語』や『ナルニア国物語』みたいに、何年か越しで何本か作ってほしかった。ともあれ、なにごともあれこれ言おうと思えばいくらでもあれこれ言えるもの。それよりも、ジブリも原作もまったく関係なく観るであろう子供たちの反応が気になる。僕は、意外といい反応なのではないかと思っていたりする。帰り道、新宿にはピカチュウのサンバイザーをかぶった子供たちでいっぱいだった。

 夜中まで仕事をし、夜中から三時間だけ練習に行く。ロングポットがとにかく入らないので、延々とロングポット特打。結果、入るようになってきた。とにかく、練習内容がどうこうよりも、何を考えながら練習したかが大事だ。シングルポットに関しては、もうあんまり不安はない。あとはブレイクビルディングと、シングルポットの精度をどこまで上げて行けるかが向こう二週間弱の課題になりそう。スヌーカープレイヤーとして、ここ一週間ですっかり生まれ変わった。さらに二週間もあるのだから楽しみだ。仕事の面でもスヌーカーの面でも、特別な時間を過ごしていると思う。体がふたつほしい。


 七月三十(日)
 僕には「電話をする」という習慣がない。用事を伝えたりするための電話はするが、暇だから電話でもしようとか、声を聞きたいから電話でもしようとか、そういう発想がない。恋人がいるときには「電話もしてくれない」と必ず言われるので、決まって、電話をしたいという気持ちにならない自分が彼女に対してなにか悪いことでもしているのではないかという気持ちになる。前に付き合ってた女子もそういうところが相当のストレスになっていたようで、何度か「電話してくれない」と怒られたことがあった。その後こちらから電話をかけたことがあったのだけど、結局、話すことなどなく、話題を探しながら受話器を持っているのも馬鹿らしくなった。「電話してくれない」と怒るくせに「なにか話してよ」という彼女に、すこし苛立ちを覚えた。それ以降、やはりまた電話をかけなくなった。なんてことを、知り合いの日記を読んでたらふと思い出した。

 今日は練習はお休み。昨日練習しながら、さすがにちょっと疲れた。この疲れが回復したときは、ここ数日の練習の成果が実を結んでいるはず。というわけで、撞きたいが撞かない。『幻魔大戦』でベガも言っていた。「戦士にも休息は必要だ」と。いや、俺は戦士じゃないけどね。  


 七月二十九(土)
 桑田君、ドラゴン、有賀選手と練習。相変わらずいい。蒸し暑さが厳しい昼間はなかなか思うようにプレイできないけど、涼しくなると、テーブルも徐々によくなってきて球が入るようになる。予選が終わってからのこの一週間で、大きく変わった。もう一息。とりあえず、二日ほど休養。
 チーム選手権の組み合わせが決定。こちらからどうぞ。なんと、タイのチームと同じグループ。昨年のアジア選手権で会った選手もいる様子。楽しみ。他には、スコットランドあたりも強そうだ。それにしても、USAのDチーム、まだ選手誰も決まってないみたいだけど、大丈夫か……!? あんまりスヌーカープレイヤーのいないと思われるアメリカだけに、付け焼き刃でプールの選手が出てくることも予想される。ちょっと、ポケットの人とスヌーカー撞いたりしといたほうがいいかな。


 七月二十八(金)
 今日のクロスタイトリーのコンディションは異常! 湿気のせいで球がまったく引けない&キューが切れない。ほとんど球なりにしか取ることができず、それにイライラして外しまくる。でも、球なりだけで26点くらいは出るもんなんだな。これは発見だった。あんまり無理して球動かす必要も、時にはないよってことだ。
 今日でかいのは、土手撞きをけっこうマスターしてきたこと。コーナー穴前くらいに手球を置いて土手撞きにしても、けっこうセンターショットが入る。スポットのピンクとかは、ほとんどだいじょぶだな。むしろ、ぜんぶ土手だったらけっこうブレイク伸びるかも……!?

 お店でGlobeのライブ映像が流れていたのだけど、あまりにヤバかったため「ウヒヒ、Keikoって歌めちゃくちゃキツくない? 聴いてて痛い。肩幅も競泳の選手みたいだし」と店員さんに言ったら、すぐ隣で遊んでた常連さんのDVDで「なんだとー!」と言われた。それにしても、どうしても「Feel Like Dance」が「ヒゲダンス」に聞こえてしまう。


 七月二十七(木)
 日々、夕方まで仕事をしてその後早朝まで練習の繰り返し。ここ四、五日で相当パワーアップした。延々とひとりフレームを撞く。60台オーバーのブレイクが、ちらほら出るようになってきた。ただ、相手がいるフレームとなると、行っても40弱で止まってしまう。にしても、スヌーカーに関しては、ここ二週間、本当に特別な時間を過ごしていると思う。まったく新しいことを新たに始めたかのような気持ち。いい感じだ。現在、湿気の厳しい日本でこのくらい入っていれば、コンディションのいい試合会場ではもうちょっと入るんじゃないかな、と淡い期待を抱きつつ。しかし、ロングポットがもうちょっと入ればなあ。

 八月二十三日に刊行となる新しい訳書『レインボーマジック』シリーズ。いよいよ、残すところ一ヶ月を切った。今年のけっこう早い段階からずっと取り組んできたシリーズだけに、感慨深い。ものすごくかわいい本になりそうなので、ぜひともお楽しみに!
 ニュースサイトのzakzakに、なんと『THE GAME』の記事が。びっくりした。


 七月二十三(日)
 街で見つけたオモシロ喫煙標語。こんなもん、街に貼っといていいのか!?



 今日はクロスタイトリーで桑田君と練習。ほぼ五分五分。今日はよく入れた。


 七月二十三(日)
 ひさびさの予選落ちを喫してしまいました……。予選成績二勝一敗。まったく球入らなかった。新しいセオリーがしっくり来るのはもうちょい先か……。それにしても、昨日の野口君は強かった。公式戦で自らのハイエストブレイクを更新(49)はめちゃくちゃ立派! あの球撞いてたら、優勝だってできちゃうぞ。がんばれ。

 反省点を元に、帰宅してから練習メニューのリストを作る。明日から個人練習にがっつり打ち込むぞ。アメリカへ出発まであと一ヶ月を切った。日がないが、その間にできることも多いはず。


 七月十九(水)
 来月からカリフォルニア州サンノゼで開かれる、IBSFスヌーカー世界チーム選手権に出場できることになりそうです。向こう一ヶ月は仕事もそこそこ楽だし、みっちり練習しなくっちゃ。このタイミングでジェームス君がいなくなっちゃったというのは、正直惜しいな……。ともあれ、がんばろう。


 七月十八(火)
 久々に、ゆっくりとスヌーカー個人練習。最近考えていることをあれこれ検証しながら、見落としガチなエラーを探る。スヌーカーのテーブルは本当に奥が深い。「でかい」ということには「遠い」という以上の意味がある。遠いのは、大した問題じゃない。これをどう解き明かしていくかが、上達への大きなカギだ。が、結局は「信頼できるキューイングがあってナンボ」というのは第一なので、延々とセンターショット。および、クッションにまっすぐ撞いてまっすぐ返してくる練習。これだけでもたぶん二時間から三時間はやる。
 いくらテーブルが大きいとはいえ、多少撞点がズレていても、センターショットは入る。僕は、キューイングのクセのせいで、バンバン入れてるときでもだいたいポケットの右側からしか入っていない。だから、すべてまん中から入れるために、修正を繰り返す。そうじゃないと、フリのあるロングにはなかなか対応できないからだ。結果、グリップがまったく別物になった。パッと見は、なにも変わっていないのだけど、力加減が変わった。それでもまだエラーが出るのは、筋力不足も大きい。また腕立てと腹筋とスクワットを再開しなくちゃだ。

 今週末から、日本のスヌーカーは新シーズンを迎える。参戦しはじめて、早いもので3シーズンめになるのかな。今やっていることが実を結べば、今年は優勝もねらえそう。今日はそのくらいの手応えがある練習ができた。


 七月十六日(日)
 午前中いっぱいで、ここのところずっとやっていた翻訳が終わる。もうネットにも刊行予告が流れ始めているので、ここで公開しちゃってもいいのかな。『レインボー・マジック』という、英国生まれのファンタジーです。刊行は、八月下旬のようす。あと一ヶ月チョイ。お楽しみに! それにしても、いつ見てもかわいいなあ、この表紙。ちなみになんとなんと、三冊同時刊行! 今のところ、七冊が刊行される予定。

 Atok届いた。これでようやく、ことえりともおさらば。ほんとに変換馬鹿だし反応遅いで大変だった。これからはバリバリ。

 大塚愛のファンの方から「無個性だなんてひどい」とおしかりを受けた。


 七月十五日(土)
 昨日の日記でお知らせした、新宿『サムタイム』で開催されるハンデ戦、12時集合12時半スタートです。デートのついでなどに、ぜひともお越し下さい! 会場地図はこちらです。こんなに交通の便がいいところで試合を見られるのは、めったにない機会ですよ。

 夕方までかかって一本翻訳を終え、午後十時まで一眠り。その後、起きてまた次の一冊。明日の朝までに終えれば、明日は一日休みが取れる。と思いきや、リーディング(本を読んで資料を作る仕事)の本が午後になってから二冊届く。でもまあ、いずれにしろ連休は人並みに休んで、明けてから俺も仕事かな。最近、またちょっと疲れてる。「疲れた」と言ったところでなにか変わるわけでもないからあんまり言いたくはないのだけど、やっぱ疲れた。今やってる翻訳が終わり、無事に本が船出したら、オリジナルキューを一本作ろうかなあ。

 四月末にやった事故で痛めた首が、ここのところ調子悪い。湿気のせいなのかなんのせいなのか、首から背中にかけて痛みが出る。僕は、肩こりというものにはなぜか無縁の男なので、これはまあ、あのムチウチが響いているのだろう。病院で先生に相談。ネットでもいろいろ調べてみる。自分では大丈夫と思っていても、しっかり通ったほうがいいみたいね、病院。病院が開いている時間にあまり起きていないから通院はけっこう大変なんだけど、気力出して行くか。いつも、午前中の診療が終わるくらいのころに行って、帰ってきて一眠りみたいな感じ。

 名古屋の鷲見さんからビデオが届く。遊びに行ったときに延々録画した、ふたりでスヌーカーをプレイしているビデオ。自分のプレイをビデオで見るのって、いいな。悪いときがどんなで、いいときがどんなか、よーく分かる。47点、45点を出したときは、ほんとにもう「どう撞いたって入るだろ、これなら」という空気がプンプン出ている。理由はいろいろあるのだけど、ここではナイショ。ジェームス君のコーチングのたまものだ。とはいえ、ジェームス君は身内にご不幸があり、アイルランドに帰ってしまうのだとか。残念。


 七月十四日(金)
 連日、ずっと翻訳作業。薄っぺらくて英語も簡単なんだけど、だからと言って、そんなに他の本と難易度が変わるわけじゃない。と思えるくらいにスキルアップしたんだな。

 徹夜作業明けはなにか音楽が聴きたくなるんだけど、メッセージ性の強い、考えちゃうようなものは聴きたくない。だから、今日は大塚愛。まったく好きなわけじゃないんだけど、耳障りだけを考えられたものには、なんとなく救われたり。無個性なものって、こういうときに救いになるな。でも、恥ずかしいからすぐ消しちゃう。で、ひとりでカッコつけてもしょうがないのだけど、やっぱりイマイアキノブ君とか聴いちゃう。で、疲れてる頭には重たすぎて、結局また消して、ファイナルファンタジー5とか始めてみたりな。

 さてさて、三連休がいよいよ始まりますが(俺には関係ないけどな)、最終日の17日、新宿歌舞伎町、コマ劇場そばのビリヤード屋さん『サムタイム』にて、スヌーカーの試合が開催されます。公式戦ではなく、カジュアルなハンデ戦(腕前によってハンデがつけられており、誰にでも優勝の可能性アリ)なのだけど、僕も出場します。スヌーカーの試合を見てみたいという方、ぜひぜひ会場までいらしてください。もちろん観戦無料。たぶん、正午スタートとかじゃなかったかな。分かったら告知します。つか、今日くらいに調べておかなくちゃだ。試合久々だな。
 試合と言えば、今月からスヌーカー公式戦新シーズンがスタートします! 今年は、なんとか一回くらいは優勝したい! 最近またしてもまったく練習できてないのだけど、ときどき撞くと好感触。今年は、新宿でも公式戦が行われると思うので、ぜひとも応援に来てくださいね。今までは「文筆家の横好き」くらいに見られてもしょうがない感じだったけど、今年は「横好きで翻訳やってるわりにはなかなかいい文章書くね」くらいに思われるようになりますぜ!


 七月十日(月)
 なんというか「永遠の一瞬」みたいな安っぽい言い回しを聞くと胸がムカムカします。


 七月九日(日)
 俺は水底を見ながら生きてきた。水底を、垂直に、そしてときどき水平に見ながら生きてきた。これからもそうだろう。俺はうじうじしていると、君が言った。だが君は、うじうじしている部分のある俺を好きになったのだから、その俺を変えようとは思ってくれるな。それはお前の傲慢というものだ。俺は、お前のいない時間もこうやって生きている。そのときに俺がなにを思い、なにを感じ、なにに心を痛めるのか。そういうことに、お前は責任が持てないだろう。だから、好きな部分は好きだと思い、あとは放っておいてくれないか。水底の砂利の上に、青くたゆたいながら日光がやんわりと降りている。俺はそれを見ながら、ぶくぶくとため息をひとつ吐く。なんと美しい光の網。俺は、その美しさが分かっていれば、それでいい。


 七月八日(土)
 今年の元旦、実家に帰省したとき、近所にある岩殿観音という寺の境内に立つ大きな銀杏の老木を見に行った。その老木は、幾重にも折り重なるように幹が絡み合いながら伸びていて、中が空洞になっている不思議な木だ。まだ小さな子供だったころ、大晦日になると近所の子供たちとそこのうろの中に入り、まるでアパートみたいに部屋を決めて遊んだものだった。
 だが、いざその入り口に行ってみると、体が大きすぎて、もう入ることができなかった。頭だけをなんとか押し込んで見上げてみると、ずっと昔と同じように「部屋」はそこにあった。なんだか寂しくなった。これから死ぬまで、あの世界があそこにあり続けたとしても、僕にはもう二度と入ることはできない。
 そんなことを考えながら、ふとこう思った。大人には見えない、子供たちだけに見えるファンタジーの世界の入り口。その入り口とは、もしかしたらああいうことなのかもしれない。

 っと! そんなことをしみじみ書いてるウチに、六月の日記をぜんぶ消しちゃったぞ!