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 八月三十日(水)
 チームカップの試合形式は独特で、各国三人ずつの代表チームが、1フレームずつ総当たりするという形で行われた。たとえば日本のABC各プレイヤーたちは、対戦国のABC各プレイヤーたちと1フレームずつ戦うというわけ。つまりぜんぶで9フレームが行われるわけだが、5フレーム先取りというわけではなく、すべてのフレームの成績が結果に絡んでくるため、8−1になろうが9−0になろうが、すべてのフレームが行われる。今回、1試合につき4時間が取られていたのだが、9フレームやるには短すぎ、かなり混乱が生じた。

 初戦は南アフリカ戦。若く長身のRafik Limbada選手、若くがっしり体型のRyan George選手、そして年配のMike Hines選手の三人。日本は僕が先鋒で、Ryan George選手と第1フレームを戦った。どんだけメンタル的にクるかと思って心配していたのだけど、メンタルはばっちり大丈夫。緊張感を味方に付けて球を撞いたのって、初めてじゃないかな。結果は取られてしまったけど、最初のレッドを入れて先制した瞬間は、ほんとにシビれてしまい、生まれて初めてレッドを入れたような気分にすらなったほど。ただし初戦ということもあり僕も相手もなんだか硬く、全体的にしまりのないフレームになったと思う。もつれてしまい、どっちが取ってもおかしくない感じのまま決着。もったいなかった。
 今回のチームでいちばん実力の高い桑田君もなんだかいまいち調子が出ず、3フレームとも落とす。関西代表田中さんは、コン大会を通してつらぬいた粘りのスタイルで1フレーム奪取。日本チーム、記念すべき初フレームとなった。

 感想としては「世界大会だからといって、それほど緊張するものでもないな」ということ。無論、相手は全員格上だと思って行っているわけだから気楽といえば気楽なのだけど、それにしても、意外なほど大丈夫だったので驚いた。これは、桑田君もまったく同じ感想。負けこそしたもののとにかく楽しくて、試合終了後のビールがうまかったこと。ここで、今大会最大の目標となった「毎日、昨日よりも美味いビールを飲もう」が設定され、思いもよらないような方向へと僕たちのチームカップは向かい始めることになったのだった。
 ちなみに、この時点でカナダ代表チームとはすっかり飲み友だち。14日にサンノゼ入りして17日に試合開始だったのだけど、14日の夜くらいから一緒に飲んでいたと思う。15日には、もうすっかり仲間意識が芽生えていた。


 八月二十八日(月)
 帰国。

 戦績については、チェックしてくださっている方も多いと思うし、今さら書かない。まあ、申し開きのできないような、惨憺たるスコアに終わった。でも、その中でもひとつフレームを取ることができたのは大きい。個人的には、妥当な成績だったと思う。
 あれこれ詳しく書くと長くなるので差し控えるが、多くの国々が参加する中、大会終了のセレモニーで、優勝国であるイングランドにならぶほどの拍手を日本が貰ったのは、決して慰みなどではなかったと思う。とにかく、酒と楽しい会話。ほどよいウィットとみんなの笑顔。そんだけあれば、みんなハッピー。勝った側も負けた側も、無論内面ではいろいろありこそすれ、ひとたび社交場に出ればなにも気にせず肩を抱き合える。そんなすてきな大会だった。そういうオープンな輪の中にグイグイ入ってゆける日本チームだったことを、本当に誇りに思う。たった二週間の間に、本当に多くの掛け替えのない友人たちと巡り会うことができた。
 僕は長らく、スヌーカーを「競技」としてとらえることに、どうしても馴染めずにいた。無論、行くべきところまで行き着けば競技になる部分も大きいのだとは思うが、とにかく、人と交わるときに役立つ大きな共通言語としての価値を、ずっと見出せずにいた。厚みがどうとか、力加減がどうとか、ブレイクがいくつ出たとか出ないとか、そういうことに、半ばうんざりしている部分があった。出発前から「これを機に、もう試合出るのやめようかな」とずいぶん悩んだりしていた。そんな僕を、とても温かく迎えてくれたチーム・カップ。「Sports という単語の語源は『気晴らし』である」ということを、強く実感させてもらった。最後の夜に、多くのプレイヤーたちとハグを交わしながら別れを惜しんだことは、きっと一生忘れられないだろう。
「お前らは、絶対にまた三人でチーム・カップに来いよ」多くの人たちにそう言ってもらえた。
 日本チーム、大成功。キャプテン・サイモン、テッド一等兵、そしてドクター・タナーカ。また次回のチーム・カップを目指してがんばりましょう。スヌーカーを強くなるためよりも、またみんなに会いに行くためにね。

 明日から、ちょっとずつ試合や日々を振り返っていきたいと思います。


 八月十四日(月)
 さて、出発当日の朝を迎えました。サンノゼまでの9時間の空路、眠り通して過ごしたい僕としては、昨日は夕方の四時くらいまでたっぷり眠り、徹夜で成田へと向かうことにした。で、空港で2、3杯生ビールでも飲んで、飛行機乗ったら即寝。これだね。って、もう朝の5時なのに、まだ荷物を準備していないまま余裕ぶっこいていますが、まあ、なんとかなるのは毎度のこと。アメリカ行きの飛行機は荷物のチェックも厳しいだろうから最低限のものしか入れないし、まあ大丈夫でしょう。空港でチェックされても安心なように、パソコンの壁紙も、怪しげなものからさわやかな草花の写真にしたし。

 ちなみに、本来は16日に試合開始のはずだったのだが、予定が変更になり、どうも17日の試合開始になったらしい。そんなことなら、もう一日くらい出発を延ばしてもよかったな、などと思いつつ、向こうで過ごすオフも、それはそれで楽しみ。ちなみに初戦は南アフリカ戦。けっこう強いプレイヤーもいるみたいなので、気合い入れて行こう。
 試合形式は「チーム戦ならでは」という感じのもので、各チーム3人のプレイヤーが1フレームずつ総当たりで対戦し、一試合につき9フレームを行う。勝ちフレーム数や負けフレーム数もカウントしてグループ内の順位を決めるため、対戦の負けが確定、つまり相手に5フレーム先取されてしまった場合でも、試合は最後まで続行される様子。ということは、予選では全部で7試合があるわけだから、最低でも21人のプレイヤーと対戦できるということ。とてもいい経験になるだろう。AグループBグループ、各8チームずつの中、上位4チームに入れば予選を通過できる。厳しいのは厳しいけど、なんとかがんばりたい。「急にチャンスが来たので……」などということにはならないよう、落ち着いていこうと思います。
 試合の経過は、随時こちらでチェックできることになっているようなので、ぜひどうぞ。ちなみに僕たちがいるグループB最強チームの一角、タイとは20日の朝10時より試合開始。同じく最強チームの一角、スコットランドとは23日の午後2時より試合開始。ボロボロにされるだろうけど、どこまでできるか楽しみだ。ちなみに他のチームも147(スヌーカーの連続取得可能最高得点)プレイヤー目白押し。こんだけ多くのプレイヤーが達成しているってことは、達成するだけなら天才じゃなくてもできるっていうことだろうな。一生に一度は僕も体験してみたいものだ。ちなみにこの大会、知事のシュワちゃんからも応援されてるようです。試合会場に現れたりしないかな。

 とりあえず、今から荷物を詰めて出発の準備をします。では。


 八月十三日(日)
 千葉さんも応援メールをくださっていたことを昨日書きそびれてしまったことを深くお詫び申し上げます。


 八月十二日(土)
 クロスタイトリーにて、一緒に大会に出る桑田君と最後の調整を兼ねてフレーム。桑田君は好調で、あわやセンチュリーかという93点ブレイクを含め、ガンガン入れていた。いい感じだ。僕も、初めて桑田君からフレームを4連取。ただ、入り始めるまでに時間がかかっちゃうのが問題。一日一試合という一発勝負の中で、どこまで自分のコンディションを上げていけるか。まあ、やることはやった。あとは楽しむだけだ。相手はみんな格上。緊張する理由はなにもないはず。
 明日の日曜日は休んで、仕事をしたり買い物をしたりして羽根を伸ばす。もう、ここまで来てゴタゴタしても仕方ないしな。つーか、いい加減荷物とか準備しなくちゃ。これが面倒。

 応援メールをくださったTakazoさん、池田君、大水君、前田さん、ありがとうございました。


 八月十日(木)
 ふー。今日で本格的な個人練習は終わり。特訓開始前の目標はほぼクリアしたと言ってもいいんじゃないかな。明日は一日練習を休んで、土日のテストマッチで仕上げ。で、月曜には出発! やー、いよいよだ。まだ荷物のこととかなんもやってないから、明日のうちに買い物とか済ませてしまおう。そういえば、今日チェックしてみたら、試合数がひとつ減っていた。ずっとメンバーの決まっていなかったアメリカのDチームが欠場になったみたい。なんだよ、誰か出せよ。まあそれでも全部で7試合もできる。予選通過すれば、さらに試合ができる。楽しみだ! 自分のメンタルの壊れっぷりも、今から楽しみ。

 僕の留守中になりますが、二十三日にゴマ・ブックスよりレインボーマジック・シリーズが発売されます! 全部で7冊やったのだけど、今月はとりあえず3冊。残りも続々刊行予定になってます。とても温かく面白い童話になっているので、ぜひぜひどうぞ。


 八月九日(水)
 声優の鈴置洋孝氏が、八月六日、肺ガンのために56歳の若さで死去されていたことを知りました。ガンダムのブライト・ノア館長やドラゴンボールの天津飯、聖闘士星矢の紫龍などなど、子供のころから馴染みの深い声優さんでした。特にブライト艦長に関しては、大のガンダムファンの僕にとっては思い入れが深いです。心よりご冥福をお祈りいたします。ガンダムでは、マ・クベ役の塩沢兼人氏に続き、ふたりめとなってしまいました。残念です。


 八月八日(火)
 練習相手がおらんので「坊主にさせたい自分」対「坊主にしたくない自分」で、一人フレーム。ぶっちゃけ、坊主にするのなんて楽勝なのだけど、どっちも本気となると、それなりにプレッシャーがかかる。そんな中、ハーフセンチュリー3発(54、52、57)。けっこう悪くないんじゃない? スヌーカークラブで調子を崩したが、戻りつつある。ようやく、プレイが楽しいと思えるようになってきた。やっぱり、見えるべきものがはっきり見えてナンボでしょう。
 フレームが終わったあとは、決まった厚みに外れるショットを逆に外す練習を繰り返す。意外とこの練習をしてる人はいないが、敢えて逆に外すように心がけることにより、新しいショットのイメージが生まれることは多い。最初は、どんなに薄く外そうと思ってもドまん中から入らなかったショットが、繰り返しているうちに、ちゃんと薄く抜けるようになってくる。そうすると、捻っても入るようになる。これはオススメの練習方法。
 今はさらに、いかに球を跳ねさせずに撞くかを追求中。やはり、テーブルに吸い付くような質の球が撞けないと、キューボール・コントロールもなかなか難しい上に、入れの精度も上がらない。先日、これに関する大きいヒントを得たので、あと半週間でモノにしなくっちゃ。


 八月七日(月)
 出発まであと一週間。今週は練習量減らそうとか思ってたんだけど、やっぱりどうも落ち着かず、結局練習しちゃっていたりする。

 そうそう。今年、JSAの公式戦出るの、ひとまずやめるかもしれん。先週末、今シーズンから新たに試合会場になったスヌーカークラブに遊びに行ってきたのだけど、とにかく暗い。僕は暗いところではあまりものがよく見えないので、なんだか、別のことをやっているような気分になってくるし、とにかく目が疲れる。ポケットの奥や球の表面が見えなくてプレイにまったく集中できず、結局ものすごく調子を崩してしまった。プレイが楽しめないのなら、試合に出ても意味ないんじゃないかな。ということで、現在、どうするか悩み中。というか、もうちょい明るくならない限りもう確定かな、という感じ。GSPCや岡山で試合があるときは出たいけど、それにしても予選はこっちになるんだと思うし……。つーか「撮影のときは暗すぎるのでちょっと明るくしました」って、それは暗すぎるってことだと思うよ、普段。普段から明るくしてよう!

 スヌーカーといえば、福田さん、朝倉さんとかねてより計画していたオリジナル・ベストを、ついに作りました! たぶん、日本で初めて作られるスヌーカー用ベストだと思う。スヌーカーのベストは、背中からシャツがのぞかなように、背中の生地がちょっと長くなっている。あと、右のポケットからチョークの出し入れを繰り返すためにポケット周辺の生地がすりきれてしまうので、そこにもう一枚生地を貼って補強。仕上がりまで一ヶ月かかるらしいのだけど、今から楽しみ。


 八月三日(木)
 ここ三日間は、仕事をしたり、練習に行ったり、Ricken'sのライブに行ったりしていたぞ。またしこたま酔っぱらった。なんか変なこと言ったりしたりしてなきゃいいけど……。

 Ricken'sのライブは、ニューアルバム『Jam』発売日に渋谷のクアトロにて。めちゃくちゃ楽しかった! アルバムは現在、ハードループで毎日聴いてます。ライブ終了後、Scriptの渡邊さん、SIOさんRitomoさん、そしてScriptの事務所のYさんと五人で、とてもおいしい沖縄スローフードのお店『れきお』でお食事。おいしい料理に舌鼓を打った後、今度は下北沢に流れて久々の『輪廻』。あれこれ話しながら飲んでたら、すっかり朝の五時半になってしまっていた。みなさんとても好きなので、また会いたい。

 練習のほうは、キューイング、つまりキューの振り方を入念に詰めている。これさえしっかりしてしまえば、けっこう思い通りに入れにいけることが多い。プレッシャーがかかる場面ではどうしてもキューが思うように振れなくなるので、これを磨いておくことはとても大事なこと。センターショットやロングを特打。しかし、木の棒一本まっすぐ振ることの、なんと難しいこと……。たぶん、キューイングについては一生悩むんだろうな。


 八月一日(火)
 なんて曲か知らないのだけど、有線かなにかで流れたんだったかな、とにかく「小さいなお前って、あなたが大きいんでしょ」って歌詞の曲があるのな。もう、ここで笑ってしまってダメ。大きい人って、他人のこと「小さいなお前」とか言わないだろ。どんだけ小さいとこで勝負してるんだよと。もう、こういうのがJ-popの面白いところだよな。ほんと好き。歌詞をじっくり聴いてみると、下手なコメディより面白いのがたくさんある。ちなみに、毛嫌いしてくさしてるんじゃなくて、そういう楽しみ方をする分にはホントに好きなのよ。ちなみに僕は、比較的小さいです。

 過去にいちばん笑ったのは、なんてバンドか忘れたけど、男4人だったかのビジュアル系ロックバンド。なんか歌番組みたいのに出てて、新曲の紹介を自分たちでしてたのな。
「娘と別れなくてはいけなくなってしまった父親の気持ちを想像して作りました」って時点で「あーあ、やめときゃいいのに、知らないこと書くの」と思いつつワクワクしてたんだけど、歌い出しでいきなり「ジュリア〜」とか(違う名前だったかもしれないけど、たしかそんな感じの外人の名前)来たときは、ほんと膝を叩いて大笑いした。翌朝起きたら腹筋が六つに割れてるくらい笑った。