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 一月三十一日(水)
 ドラゴンが友人と一緒に一泊二日でビーチに遊びに行ってしまったので、今日はホテルでひとり。午後からTBCに練習に行き、黙々と練習。と、アタジットがやってきて「フレーム撞こうぜ」ということになり、一緒にやる。子供たちの注目を浴びつつプレイ。6フレームやってひとつも取れなかったけど、それでも、惜しいのが3つあったし、ロングも入ったし、いいブレイクも出た。フレーム取れないのはまあしょうがないだろ。元メインツアープレイヤーだものな。
 それにしても、ロングが安定して入る。これはでかいな。かといって、ミドルレンジ以下のポットがズバズバ入るかというとそうでもなくて、こっちはこっちでまた別に練習が必要。スヌーカーは奥が深い。

 三時間ほど練習してからホテルに戻ってきて仕事。やはり環境が違うとスピードも遅くなるが、それでも0よりは1。あとでアタジットとファイトゥーンと一緒に遊びに行く約束をしているので、連絡が来るまでは仕事を進めておこう。


 一月二十九日(月)
 いやー、やられちゃいました……。
 今回の相手は、三十代後半くらいの選手。名前はタオ選手だったか、そんな感じ。ほぼ互角で、1フレームずつ交互にとって、ファイナル・フレームでやられた。序盤に二十点くらいリードされたあと、ブルー、ピンク、ブラックが死んでしまった、つまりポケットに入れられない場所に行ってしまったのが、そのまま最後まで響いた感じか。とにもかくにも、ファースト・フレームでせっかくリードしていたのに決めるべきところを決めきれなかったのが、大きな敗因だろう。後半になるにつれてどんどんテンパり、ショットがみるみる強くなってしまい、もうどうしようもなかった。地力の差で負けたという感じがします。今回は特に「この一本を決めればいける」というショットがことごとくはずれた。ロングであろうとイージーであろうと、とにかくはずれた。距離や難易度は関係なく、そういうショットの見えない難しさを克服できるだけの精神力や忍耐力が、今の自分にはありませんでした。

 さてさて、今回のタイ遠征で感じたのは、日本のレベルも決して低くないな、ということ。少なくとも、タイのディヴィジョン2であれば、JSAのトップ16はいい勝負ができると思う。5×5のチーム戦なら、勝ててしまうかもしれない。その上のディヴィジョン1に64人強いのがいるというのは、タイにおけるこの競技に関する歴史の長さを考えれば「まあ、そのくらいはいるだろうさ」という気がします。今回はそういう意味では、非常に希望につながる遠征だったと思う。コーチもいなければ練習環境も決して恵まれていない日本という国にいても、タイの試合で一勝が挙げられる。ならば、日本でスヌーカーという競技の裾野を広げていくことができれば、時間はかかるだろうけれども、日本もアジアの強国の仲間入りができるはずだということ。自分で言うのもアレだけど、僕が挙げた一勝というのは、それなりに意味のある一勝だと思う。僕たちの世代は、その裾野を広げるために、まずいろいろと経験を積むべき世代なのかなということを強く感じた。かといって、選手としての欲を捨てるわけではないけれどね。

 それにしても、アタジット(タイのナンバー5プレイヤー。「アサジット」かと思っていたら「アタジット」らしい)が観戦に来てくれたとたん、相手プレイヤーの調子がちょっとおかしくなったのがウケた。やっぱ、トップ・プレイヤーが見てると緊張するんだろうな。ちなみに、アタジットと遊びに行く予定だったのだけど、相手に用事が入ってしまい中止。僕は僕で、すっかりくたくたにくたびれ果てていたのでちょうど良かった。ホテルに戻ってすこし経ったら眠くてたまらなくなり、そのまま十時間以上も寝てしまった。

 とにもかくにも、タイの公式戦で一勝した初めての日本人になれたわけだから、今回はそれで満足。負け試合からも大きなものを得たと思うし、さっそく練習だ。

 それにしても、ファイトゥーン(タイのナンバー14プレイヤー。かつてイギリスで10年間もプレイしていたくせに、ほとんど英語が話せない)うるせえ! 去年のチームカップでアタジット、シン(タイのナンバー21)とともに仲良くなったのだけど、海外に出るとものすごくシャイで、ほぼひとことも口をきかないこの男、タイだとうるせえ! はっきり言って別人! 今回の遠征でドラゴンとともにいちばん驚いたのは、ファイトゥーンのうるささだ。声でかい! 快活! 別人!

 ちなみに、連日一緒に遊んでくれていたジャックはこの人で、一昨日遊んでくれたレストランの持ち主、サックはこの人


 一月二十八日(日)
 今日は試合もなく、一日休日。TBCにてちょっと練習。昨日試合でハズしまくったショットを何度も練習。目の錯覚だけは、本当に分からないな……。なんか秘密あるんだろうな。

 いきなり変圧器が壊れた。ものすごく熱くなって、電気が通らなくなってしまったのだ。「これは困ったなあ」と思い、自分の持ってきた電化製品を見てみたら、変圧器なんて通さなくていいものばかりで拍子抜け。便利な時代になったものだ。

 今日は、タイのトップ選手でありレストランのオーナーでもあるサックと、先日から一緒に行動しているジャックと一緒に、サックのレストランでシーフード・ディナー。エビやらカニやらシャコやら、豪華な食事とシンハー・ビールですっかり満たされて、バンコクのナイトクラブをハシゴして遊ぶ。これはクセになりそうだ。
 ジャックが唯一しゃべれる日本語「黙れ!」が最高に面白い。


 一月二十七日(土)
 無事に初戦を突破しました! 最初にいきなり遠いショットをドカンと入れられた上に、試合開始前に審判から「あいつうまいよー」と聞かされていたのでビビったけど、終わってみれば3−1。タイ人サポーターがけっこういて、笑いながらタイ語であれこれ言ってるのが聞こえて気になってしょうがなかったけど、それでもなんとか勝てた。けっこうはずした! でも、締めるところは締めたかな。
 次は月曜日。日本時間の午後五時から試合開始。今度はもうちょっと、気持ち的に楽な感じで試合にのぞめそう。試合が終わったら、タイのトップ・プレイヤー、アタジットと一緒に遊びに行くぞ。


 一月二十七日(土)
 先ほど、ドラゴンの初戦が終わりました。前回のU-18チャンピオンのヒッサラー選手。ファースト・フレームはドラゴンが調子よく取り「お、これは行けるんじゃないの?」と思ったら、あれよあれよという間に1−3で敗北。ドラゴンもチャンスを作ってはいたのだけど、いかんせん初めてのテーブル。普段ならまずハズさないような球をいくつもハズしてしまい、それがそのまま敗因になってしまったような感じ。
 あと五時間くらいで僕も試合だけど、日本勢ふたりとも初日に終了、ということにはならないよう、しっかりがんばってきます。


 一月二十六日(金)
 練習のため、TBC (タイ・ビリヤード・センター)へ。泊まっているホテルからは徒歩十分もかからず着いてしまうのでとても便利。とりあえず、すでに始まっているディビジョン2の試合をすこしだけ見学。うーん、みんなうまい。試合はシングル・エリミネーション、つまり一回負けたらそこまでヨ、という形式なので、早ければ明日終わりになってしまいそうだ。そうならないようにがんばろう。

 夜は、ディビジョン1のプレイヤーであり、現在タイのランキング6位、ジャックと一緒にバンコク市街地に食事に出かける。北京ダック、フカヒレスープ、伊勢エビのしゃぶしゃぶを「もう無理」ってくらいまで食べて、飲んで、ひとり4,000円とかそんなもんだったかな。安すぎ。他にもいろいろ安くてうまいもんがありそうだから、ガシガシ食べて帰りたい。


 一月二十五日(木)
 無事にタイに到着しました。空港で深夜十二時過ぎに荷物を受け取り、タクシーにてホテルへ。先ほどドラゴンと、とてつもなく辛いヌードルとシンハー・ビールの夕食を済ませ、部屋に戻ってきたところです。とりあえず明日は一日オフみたい。僕の試合は明後日の夕方からなのだそうで、明日は下見を兼ねて会場を見物し、ついでにちょっと練習かな。とにもかくにも、荷物も無事でホッとしました。
 先のチーム・カップに続き「ホテルの予約が取れていない」という俺マジックを今回も発動させてしまったけれど、これから十日間、とにもかくにもすごくいい経験ができそうな予感。逐一レポートを入れて行く予定なので、お楽しみに! スヌーカーに興味のない人は本当にごめんなさい。先に謝っておきます。

 さて、とりあえず今日のところは寝て、明日からいろいろ開始するとします。


 一月二十四日(水)
 さてと、いよいよ明日からタイ遠征 with The Japanese Dragon! 相変わらずまだ荷物も作っていないけれど、まあ、どうせ洋服とキューくらいしか持って行くものもないわけだし、むしろ、あっちで買い物することを考えたら、少なければ少ないほどいいか。キューのメンテナンス用品も、今回はいいや。どうせTBC(タイ・ビリヤード・センター)にあるだろうしな。あ、そうだ。仕事を入れて行かなくちゃだ。本を丸々一冊入れるのはけっこうかさばるから、必要な分だけコピーを入れて行くとしよう。今回の旅では、リュックをどっかに置き忘れたりしないぞ!

 問題は、ホテルからインターネットに繋がるかどうか。一昨年のアジア選手権でも同じホテルに泊まったのだけど、今時ダイヤルアップで、しかもメールの送受信ができなかったんだよな。今回は、ウェブサイトを見る限りでは「全室無線LAN使用可能」とのこと。無事に使えたら、写真付きでレポートをアップしていくのでお楽しみに。

 さてさてそれでは行って参ります!


 一月二十日(土)
 さすがにそろそろちょっとは球撞いておかんとやばいだろ、という話で、午後七時くらいからサムタイムにちょこっと顔を出す。おお、なんと栗本高雄選手、通称マックがいるじゃないか。マックは、JSA参加選手の中では唯一子供のころからスヌーカーをやっていたプレイヤー。当時イギリス在住だった彼は、一時期はコーチをつけていたほど本格的にやっていたらしい(詳しくは知らないけど)。あとaikoファン。当然、球もかなり本格派(念のために書いておくが、これにはaikoは別に関係ない)。今まで一緒に撞いたことはほとんどないというか、プライベートでやるのは今日が初めてだったんだけど、いやあ、楽しかった! ドラゴンとはまた違う球。結果は、3フレームやって1−2。2つはさっくり取られたけど、唯一取ったフレームは、なかなか悪くなかった。タイに向けて、ちょっと自信に繋がったかな。その後、隣のテーブルで撞いていた岩岡選手と4フレーム。これは4つとも取る。うん、割と入るな。タイに行く前に、もう一日だけ練習できたらいいな。

 仕事のほうは、まずまず順調。ペースもだいぶ追いついてきて、一時期はどうなることかと思ったけれど、タイ遠征に行っても無事に終わりそうな感じになってきた。でも、もうひとがんばりしないと、二月末の岡山はキツいかな……。

 一昨日の日記に書いた件は、考えれば考えるほど本当に腹が立って仕方がない。僕は、なにかされてもついつい情状酌量し過ぎてしまうところがあるのだけど、今回ばかりは本当に許す気はない。一生俺の前に顔を出すなよ、という気持ちになるのも久々というか、たぶんほとんど初めてのことだと思う。そんな気持ちになった自分がとても嫌で、複雑な気分のここ数日。


 一月十八日(木)
 一昨年の誕生日に、手焼きのカップを貰った。俺の誕生日だから焼いたのだと、彼は微笑みながらそのカップを俺にくれた。俺は嬉しかった。とても嬉しかった。だから使わずに、いつもデスクの上に置いていた。しかし彼とは、お互い忙しくてなかなか会えなかった。
 彼の友だちと知り合い、なんとなく先日、一緒に馬場で酒を飲んだ。彼女と俺はすっかり打ち解けて、俺は彼女に読んで欲しい本があったから、うちに寄ってもらった。俺は彼女に「あいつから貰ったんだぜ」とカップを見せた。そしたらそれは、彼女が焼いて、彼の誕生日に贈ったカップだった。確かに底には、分かりづらいが彼女の署名が入っていた。

 俺は何冊か本を見せた。そのうちの一冊を、彼女も持っていた。ゴーリーの『弦のないハープ』という絵本だった。「彼から貰った」と彼女が言った。「俺が彼にあげたんだ」と俺が言った。俺たちは図らずして、ずいぶん前に彼を通して物を贈り合っていたのだった。

 新しい友人をひとり得て、ひとり友人を失くした。


 一月十八日(木)
 池袋でレインボーマジックのイベントがあり、しょこたんが赤の妖精ルビーのコスプレをしてくれた。行きたかったのに、仕事が追いつかず行けなかった……。(′;ω;`)カナシス
 彼女は最近デンジレッドのマスクを購入されたようで、そいつが非常に羨ましい俺です。


 一月十五日(月)
 タイで参戦するプロツアーのタイトルがようやく分かった。『タイランド・プロ・サーキット・ディビジョン2・イベント2』というらしい。長いな! なんか、中学校の英語の教材テープとかを思い出してしまう。「ページ1、セクション1、レッスン1、1」とか。
 ディビジョン2とあって、比較的レベルの低い選手もけっこう出て来そうだけど、やはり、僕がいちばん格下あたりにいるのは間違いない。そんな中、完全アウェーの状態で泥仕合を闘ったりするわけだから、これはもう、最高の経験になるだろう。夏の世界選手権みたいにフルボッコにされるのもいい経験だけど、こういうのもまたいい。
 残念なのは、行けるのが僕とドラゴンだけということ。そして僕も本来は行っているような場合ではないのだけど、今がんばって仕事を進めているところ。あと十日で三冊翻訳して、大物一冊も進められるだけ進めておかなくちゃ。なんだか、毎年この時期はヤバいスケジュールで仕事してる気がする。正直、タイのツアーに参戦することが決まってから、仕事のおかげで練習時間がまったく取れていない。あと十日ほどで出発だけど、ラスト三日くらいは、一日二時間でもいいから撞いておかないとな……。まあ、二月五日に帰国してしまえば、あとは仕事の予定が大物一本しか入っていないし、集中してやれば問題ないだろう。二月は……死ぬな……。

 それにしても、三年前にはあらゆる作家、翻訳家、ミュージシャンなどを差し置いて、ぶっちぎりで俺の尊敬を集めていたジャパニーズ・ドラゴン、福田豊とタイのツアーに参戦するというのは、なんかこう、すごいな俺。「ああ、本人を知らないほうが良かったかも……」と思うこともありこそすれ!


 一月十四日(日)
 またしても、更新滞り中。というのは、来る日も来る日も朝から晩までスコットランド英語と格闘しているから。仕事をデスクに移したのは前に書いた通りだけど、椅子にずっと座っていると腰に来るな……。なんだかんだで32歳。体ももう若くないってことだろう。やれやれ。どなたか、いい椅子をご存じの方がいらっしゃったらぜひ教えてください。


 一月九日(火)
 ネットで拾って、悔しいけれど笑ってしまった駄洒落を紹介。


 今日はおつカレー!
 ナンちゃって!
 (カレーとナンがかかっている)



 まったく面白くないのだが「(カレーとナンがかかっている)」の部分を読んでしばらくしてからじわりじわりとおかしくなってきて、不覚にも笑ってしまった。


 一月八日(月)
 先日ティップ(キューのいちばん先についてるファイバー製の部位)を交換したところこいつがはなっからパンクしており(簡単に言うと、中がスッカスカでフニャフニャになる。ひどい場合には、球を撞くと割れることもある)使い物にならず、また交換。新品を取り付けるが、整形してみたらまたパンク。アホか。ブランズウィック・ブルーの10t締めを使っているのだが、どうも最近品質が下がっているような気がする。ハズれが多くなってきた。今回も3個入りのケースを買ってきて、2つは完全にパンク、残ったひとつをケースから取り出して、底を平らに磨き、ティップの取れたキュー先を平らに磨き、アロンアルファでつけ、整形。またパンク。一ケースすべてパンク。こんなことは初めてだ。一個700円もするのに、今回はほんと、金を捨てたようなもの。
 インターネットにて、同じくブランズウィック・ブルーの10t締め、15t締め、20t締めを各2つずつ注文。これでまたハズれを引いたら目も当てられない。これでダメなら、万力を購入し、締まっていないのを自分で締めるしかない。結果はそんな変わらないかもしれないけど、自分で締めてダメならまだ諦めがつくというものだ。今気づいたが「締める」と「諦める」は字が似ている。
 ティップには大まかに三種類あって、僕が使っているようなファイバー製のもの、そして一枚革のスタンダードなもの、最後に、何枚もの薄皮を貼り合わせて作る積層ティップがある。最近の主流は積層ティップ。性能もいいし、品質も安定しておりハズれがほとんどないというか、まずない。のだけど、僕はどうもフィーリングが合わず、ファイバー製のブルー・ティップを使っている。一時期、ちょっとの間積層ティップを使っていた時期もあるのだけど、なんだかキューミスやキックが多い気がして今のティップに変更。それからかれこれ一年半くらい、ずっとブランズウィック10t締めだ。これ、アッシュのキューには実によく合うので、ティップがまだ決まってない人はとりあえず試してみることをオススメ。

 3つめのハズれティップを鬼神の表情でむさぼり取ってみたはいいものの、なにも付いていないのはどうも落ち着かないので、余っていた締まっていないブランズウィック・ブルーをつけてみた。お、これ当たりっぽい……。


 一月四日(木)
 月末からのタイ遠征にそなえ、福田豊君と練習。お互い正月ボケか、調子がまったく上がらず。それでもまあ、もう前みたいに「戻っちゃったよう」と慌てることはない。やってりゃ戻る。入った入らないで一喜一憂するのではなく、とにかくコツコツと。
 ドラゴンが帰ったあとに、ひとり黙々とセンターショット。動画を撮りながらキューイングのチェック。まだ納得のキューイングには遠いが、それでもセンターショットは入る。ちょっと重いが動画。つーか、めちゃくちゃ重いな。お暇な人はどうぞ。

 兼ねてからの計画通り、仕事場を隣の部屋に移動。コタツよりもデスクのほうが効率がいい気がする。前までは行ったり来たりしながら両方でやっていたけど、今後はデスク一本に絞ろう。これで気合い入れ直して、ガンガン進めちゃうぞ。

 最後に年始のご挨拶がわりに、現在開発中のニュー・ショット。見た目重視のキューイングでバッチ来い。試合でこれやったらヒーローになれるな。


 一月一日(月)

 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いいたします。