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 五月三十一日(木)
 一時期65キロまで落ちた体重がまた増えてきたので、『ビリーズ・ブートキャンプ』に再入隊を決意。せっかく体を動かすんだから、それに伴ってダイエットもするかな。ダイエットとは日本では「痩せる」という意味で使われることが多いけど、元はそうじゃなくて、「食事」という意味の名詞。動詞で使うと「食事制限をもうける」などという意味になる、食べ物にまつわる言葉だ。だから、この『ビリーズ・ブートキャンプ』の「7日間集中ダイエットプログラム」っていうコピーもどうかと思うなあ。まあ、いいんだろうけどさ……。でも、とにもかくにも腹筋。ロングポットにはとにかく腹筋が必要。

 明日から二泊三日で埼玉に帰省。悪だくみ開始!


 五月二十八日(月)
 パキスタンで開かれるスヌーカーアジア選手権、参加が決定いたしました! 六月十一日から十七日までの一週間、カラチにて開催されます。またドラゴンと海外か! 経験積みに行ってきます。


 五月二十八日(月)
 三度目の全日本選手権。一回目は栗本選手、二回目は石原選手に一回戦で敗れており、今回はなにがなんでも初戦を抜け、ベスト4を狙っていた。が、またしても一回戦にて野口選手に敗退。今日の野口君は強かった……。もう野ぐそ君なんて言いません……。たぶん。ロングポットはなんでも入っていたんだが、いかんせんショートゲームが相変わらずヘタクソというか、作ったチャンスを物に出来ないメンタルの弱さというか……。ブラック周辺でのショートゲーム、撞き方をちょっと変えないといけないだろうな。

 さて、第六回全日本選手権の優勝者は、なんとも久々の優勝となるジャパニーーーーーーーーズ・ドラゴン、福田豊選手! 調子は悪くないもののどうもピリッとしない栗本選手を圧倒し、3−0のホワイト・ウォッシュ。今年に入って初勝利なんじゃないかな? とにかくおめでとう!

 しかし、いくら日本のスヌーカーのレベルが上がってきたとはいえ、やはり大舞台では「ドラゴン vs マック」という形になる。僕が予選で1フレームだけベストゲームをしたように、他の選手も1フレーム2フレームならば、ドラゴンやマックとくらべても遜色ないようなゲームができるのだが、それを持続しろと言われると、なかなかできない。これは、理論や練習でどうにかなるものではないので、とにかく難しい。僕はたぶん、スヌーカーというものに対する認識を改めて行かないと、この壁を越えられないだろうな。もしかしたら「スポーツをする」ということに対するメンタリティが欠けているのかもしれない。スポーツちゃんとやってるのなんて、人生初だものな。

 もしかしたら六月、ドラゴンとふたりでパキスタンのカラチで開催されるアジア選手権に出場するかもしれない。しかし、現在カラチの情勢は非常に不安定で、銃撃戦などでおびただしい数の死者が出ている。会場および宿泊施設となるホテルには厳重な警備が敷かれるので問題ないと、運営からは連絡が届いているらしいが、もし「日本からの選手派遣はナシ」と連盟が判断するのならば、残念ながら参加はできない。運命の連絡は今日。さて、どうなるか……。


 五月二十七日(日)
 全日本当日。やはり落ち着かないのか、朝六時に目が覚めてしまった。頭スッキリ。昨夜はいきつけのお店『角家』『GARUDA』にて、ちょっとずつお祝いしてもらった。

 それにしても、JSAの予選も厳しくなってきた。二年前は「定員ギリギリなので、参加すれば通過です」みたいなことがちらほらあるほどだったのに、最近の予選はどれもこれもアツい。その中で、通過常連組と予選落ち組の差はなにかというと、ショット・セレクションだなというのを昨日はすごく強く感じた。俗に言う「行って来い」連打の選手は、もうそろそろ厳しいんじゃないかな。そのあたりをどう見つめ直して行くかが、今後のカギだと思った。
 人の試合を見ながらショット・セレクションを見つめ直すには「ナイスショット」と拍手するのをこらえてみるといい。入った瞬間に「ナイスショット!」と拍手を起こす人がいるが、それは、その人が普段からイレイチでプレイしているから「入ればナイスショット」なのだ。だが、ナイスショットは「球が入り、次につながって初めてナイスショット」なのである。おそらく「ナイスショット! ……あああ、残念、アンラッキー」とか言ってしまいがちな選手は、自分のプレイも行って来い気味のはずである。敢えて「ナイスショット」と声をかけるタイミングを遅らせて、球の行く末を見守ることにより、本当のナイスショットとは何かが見えてくるはずだ。


 五月二十六日(土)
 全日本オープン予選。特に調子が良かったというわけでもないが、グループ1位抜け。明日の新宿サムタイム、全日本選手権への切符をギリギリで手に入れました。公式戦ハイエスト・ブレイク42点のオマケ付き。気が散らなければ、もうちょっとのばせた。応援を送ってくれる観客はありがたいが、人の動作を見て笑うというのはもってのほか。あそこで切れてしまった。残念無念。
 ここしばらく公式戦では低迷していたけれど、今日は非常に感触がいい。明日は、普段通りの力を出すことができれば行けるんじゃないかな。

 スヌーカー全日本選手権は、午前10時より新宿歌舞伎町の『サムタイム』にて開催。ぜひぜひご観戦にいらしてくださいませ。


 五月二十日(日)
 全日本予選、18人参加の3人通過。決定戦で惜しくも敗れ、決勝トーナメントへの切符を逃す。土曜日のオープン予選に賭けるしかない。それにしても、まったく球が入らなかった。それでも決定戦まで行けただけでも成長だったとポジティブに考えよう。無理だけど。


 五月十六日(水)
 長らく更新が滞っていたけれど、ようやく再開。イギリスから帰ってきてから疲れがまったく抜けず、しかもずっと風邪気味のままにっちもさっちも行かず、ぐだぐだしている。オマケに、先月末に壊れたパソコンの中に、今やっている本の原稿が入っていたことが判明。バックアップなし。というわけで、またゼロから作業しているところ。全日本選手権予選が日曜日に控えているというのに、練習時間が思うように取れず。果たして、無事に通過できるのか……!?

 ちなみにイギリスから帰ってきたばかりだけど、六月には、今度は大阪に遠征。第一回マスターズに出場できることになったので、スヌーカーでは初の大阪上陸。つーか大阪自体ほとんど初めてみたいなもので、前に一回だけ行ったのは、小学生だか中学生のころの家族旅行なので、ほとんどなにも憶えておらず。事実上、今回が初の大阪だと思っている。ちょっと余計に泊まって、おいしいお好み焼きとか食べに行ってしまおう。せっかくだから、4泊くらいすっかな。


 五月七日(月)
 寂しいけれど、明日帰国。一昨日までシェフィールドにいたのだけど、どう頑張っても決勝のチケットが取れなさそうだったので、予定を変更して一路バースへ。こっちのほうがヒースローに近いし、久々に会いたい友だちもいるしで、一石二鳥。というわけで、昨日は久しぶりにかつてのなじみだったパブ、『THE BELL』に行ってみた。僕がライブをやっていた『THE HAT AND FEATHER』とならぶミュージック・パブで、ハットがつぶれてからは唯一くらいの話になった。カウンターでひとり飲んでいたら、中年のおっちゃんが話しかけてきて、なんと、ハットで僕のやっていた僕のライブをちょくちょく見に来てくれていたのだとか。よく憶えていてくれたもんだ。ライブ、やっとくもんだな。
 今日は友だちのエイデンの家に朝からお邪魔して、午後十時くらいまでずっとスヌーカー見ながら飲んでいた。エイデンは、バース大学のランゲージ・センターで僕の先生だったのだけど妙に気が合って、友人みたいに付き合っている。その後ランゲージ・センターでの仕事を辞めて、今はバースのアート・ギャラリーで働いている。アイルランドなまりのキュートな英語を話す。娘のジャムナは僕が彼の生徒だった頃に生まれて、もう八歳になろうとしている。最後に会ったのは彼女がまだ三歳になるかならないかの頃だったのだけど、なんとびっくりしたことに、僕のことをなんとなくではあるが、憶えてくれていた。すごくよく僕になついてくれて、スヌーカーを見ながら、一緒に絵本を読んだりしていた。すげーかわいい!

 さてさて、肝心のチャンピオンシップだけど、クオーター・ファイナルからずっと目をつけていたマーク・セルビー選手が絶好調。スティーブン・リー、ピーター・エブドン、アリスター・カーターと、三人のトップ16の選手たちを破って決勝進出。決勝では、これまた僕の大好きなプレイヤー、ジョン・ヒギンズと戦っている。昨日の段階では4−12で終わり、これはジョン・ヒギンズの圧勝かと思われたのだけど、今日はものすごいファイト・バックを見せており、今これを書いている現在、横のテレビには「HIGGINS 14 (35) 12 SELBY」と表示されている。まん中の「(35)」は「ぜんぶで35フレーム戦いますよ。どっちかが半分を上回る18フレームを取ったらそこで終わりですよ」という意味。つまり、ジョンはあと4つ、セルビーはあと6つ取れば、世界チャンピオンになれるというわけだ。
 僕は普段ならジョン・ヒギンズのサポーターなのだが、今回ばかりはマークに優勝してほしい。クオーター・ファイナルでの戦いっぷりに心底惚れて、到着した翌日くらいからずっと応援し続けているのだ。きっとここまで勝ち抜いてきているのも、半分は僕の念力にちがいない。

 でも、明日朝七時に起きなくてはいけないんだよな。現段階でこの調子じゃあ、試合が終わるまでにあと最低でも二時間はかかりそうだ。どこかで「さっさとどっちか勝ちきってくれよ」と思っている自分もいないわけでもない。